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ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密

(読了 36) ポール・アダム著  青木悦子訳    創元推理文庫

 「ヴァイオリン職人の探求と推理」に続く一作です。主人公はクレモナの名うてのヴァイオリン職人ジャンニ・カスティリョーネと、彼の若い友人でクレモナ警察のグァスタフェステ刑事。

 ジャンニの元にパガニーニが弾いていたグァルネリが修理のために持ち込まれるところから話が始まります。持ち込んだのはロシア人の若き天才ヴァイオリニスト、エフゲニー。見事に名器を直し、彼の信頼を得たジャンニですが、美術品ディーラーがホテルで撲殺されるという事件があり、被害者の財布の中からエフゲニーの楽屋から盗まれたパガニーニの「モーゼ幻想曲」の楽譜の一部が見つかったことで、グァスタフェステに請われて捜査に協力することになります。

 被害者がホテルの金庫に預けていた黄金の箱。その箱を開けるための暗号が「モーゼ幻想曲」の楽譜に隠されていることを見抜き、ジャンニは箱の開錠に成功します。中には愛人からパガニーニに宛てた手紙が入っていて、また箱の内側は、極小のヴァイオリンが入る形にくり抜かれていました。この箱に収まる小さなヴァイオリンは存在するのか?また手紙に書かれていた「セレナータ・アパッショナータ(情熱のセレナーゼ)」という幻の曲は実在するのか?そんな中エフゲニーが行方不明になります。果たして彼は殺人事件と関係があるのか?

 前作はヴァイオリン全般に関してと、ヴァイオリン職人、ヴァイオリンディーラーに関しての広範な知識が披露されましたが、本作はパガニーニに関しての知識が披露されます。純粋な謎解きではなく音楽に関してのペダントリーを楽しむのが、このシリーズの醍醐味でしょう。ただし、前作同様単純に終わらせないのがミソ。今後また続編は出るのかな?