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誰が為の削減?

多数の空きベッドや空き病室が、医療機関の経営を圧迫している、と言うならば、この方針には一理あるだろう。

だが、単に医療費削減だけの目的ならば、これは適切とは言えまい。

すなわち、現在なお深刻さを増す救急車のたらい回しと言う事態を招く原因の一つに満床と言う事があるからだ。

私の身近なところにも、それは発生した。

ある女性が、胸の苦しさを訴え、救急搬送。

血管が剥離していたとかで、救命救急センターに搬送され、一命をとりとめた。

センターとしては、満床防止のため、早期転院を求めたものの、移動に耐えられないという判断で、1月余りの集中治療室暮らしののち、親元近くの療養施設が見つかり転院したと言う。

ある老女も、偶然来訪したヘルパーに、重篤と判断され緊急搬送。

同じ救命救急センターに運ばれたが、回復の目処が読めない、症状の安定から、意識不明のまま転院となった。

因みに、転院先の病院は、事実上終末期医療専門で、老女の入った8人部屋、2日に一人の割合で死亡退院。

幸い老女は意識を回復し、生還したものの、要介護5で落ち着いて数年になる。

無論、自宅介護、自宅療養で対応できる状態ならば、入院にこだわる必要はあるまい。

だが、自宅介護や自宅療養が難しくとも退院して自宅介護や自宅療養を余儀なくされる場合、

或いは満床を理由とした放置などが厳然としてある今日、単に医療費削減の目的のみでベッド数削減は、医療と言う点では問題ありだろう。

無論、皮相な見方をすれば、この方向は分からぬでもない。

すなわち、小金を持つ高齢者の財産が医療費に蚕食される前にその高齢者が鬼籍に入れば、相続税と言う税収がたんまり期待できるからだ。

ひょっとすると、これが本音、なのかもしれない。

■入院ベッド15万床削減 25年、医療費減へ在宅移行

(朝日新聞デジタル - 04月01日 23:31)